6次産業化とは
農山村にあふれている有形無形の豊富な資源(農林水産物、バイオマス、自然エネルギー、風土や景観、伝統文化など)それらを有効に活用し、農林漁業者(1次産業従事者)がこれまでの原材料供給者としてだけでなく、自ら連携して加工(2次産業)・流通や販売(3次産業)に取り組み、経営の多角化をめざすこと。こうした経営の多角化(6次産業化)は地域活性化へつながると期待されている。
この6次産業化を積極的に推進するため国は6次産業化法を制定した。そして、積極的に取り組む事業者に対して6次産業総合化事業計画認定を与え様々な補助事業の活用ができる環境を整備した。
6次産業化法…平成23年3月1日施行(今年で11年目)
6次産業化総合化事業計画認定件数 2,398件(H30年)

6次産業化にはどのようなものがあるか
①次世代ツーリズム
新しい余暇活動に対応した収穫体験、農家民宿、グリーンツーリズムなど
②地域複合アグリビジネス
農産物ブランド化、加工商品開発、農村レストラン、農産物直売所など
③ふるさと回帰産業
地域紹介・住まいづくりなどふるさとへの移住を希望する方へのサービスの提供
農山村には様々な経営資源があふれている。眠っている資源を掘り起こせば10兆円の産業と100万人の雇用の可能性があると言われている。

6次産業化のメリットは何か
①所得の向上
農産物原料の供給から、自ら加工や販売を行うことで経営規模拡大と安定化が図れる。
②風土や伝統文化の保全
地域の農業産業を育成活性化することにより、耕作放棄地の解消など農地の保全、自然環境を守れる。農耕文化と密接につながっている伝統文化を掘り起こし、地域風土を守れる。
③地域の活性化
地域の特産品を売る直売所や、農家民宿や農業体験や心のツーリズムなど、都会との交流を図ることで地域の活性化が図れる。
④雇用の創出
都市との交流や新しい観光や、特産品の販売などの活性化により、若い人の働く場が生まれ雇用の創出の期待ができる

6次産業化のデメリットは何か(農家にとっては大きなリスク)
○専門的な知識が必要となる
○多額の資金調達が必要となる
○厳格な衛生管理が必要となる
○コンプライアンスの遵守が必要となる
農産物の原料だけを出荷していた時にはない分野の、新しい専門的な知識や資金や設備や経営感覚を要求される。
リスクを軽減する、手取り足取りの支援体制、6次産業化への様々なサポート体制
6次産業化サポートセンター(各都道府県に1拠点設置)
6次産業化プランナー無料派遣(事業を推進する専門家の支援)
補助金・助成金、特別融資制度の活用(総合化事業計画認定が条件)

6次産業化ネットワーク事業連携の推進
農業者が加工品製造や独自の販売を自前で行うのはリスクが大きすぎることから、農業者の弱みを補完協力する商工の事業との連携推進を推奨している
製品戦略、企画開発、マーケティング、ブランディング
製品加工・製造、研究開発
資金調達
知的所有権
販売
6次産業化を推進する上で上記の専門企業とのネットワーク連携で事業を成功に導く体制を構築。このような事業枠組みも6次産業化プランナーと相談し実現する体制をサポート。

<6次産業化の推進 農水省資料 令和2年2月発行>
6次産業化の成功事例の紹介
NPO法人えがおつないで 山梨県北杜市
代表 曽根原久司氏 設立2001年

都会のサラリーマンの力を借り耕作放棄地を開墾。農地に変えるユニークな試みを軌道に乗せた。大企業と連携し、農業で都市と地方をつなぐ活動として注目される。2001年えがおつないでを設立。様々なつてで放棄地の開墾に協力を求めると、研修の場にと不動産や食品など大企業が参加。社員が育てたコメは社内で食堂の他、地元の蔵元で清酒に醸造し販売も始めた。成果が評価され、三重県でも同様の取り組みを実施。企業が地元の間伐材を利用する試みもスタートした。
長い間、耕作放棄された地域の棚田
山梨県北杜市須玉町増富地区の限界集落
高齢化率66%
耕作放棄地率52%
販売農家ゼロ! JA撤退!
面積100k㎡に人口400人
都市との交流で蘇った棚田

企業との連携活動で蘇った棚田
大手不動産会社との企業連携、都市と農村をつなぐ「空と土プロジェクト」で蘇った棚田
プロジェクトは企業の福利厚生として連携(田植えツアー、除草ツアー、稲刈りツアー)
生産された米は社内食堂に使われた他、酒米ひとめごごちは、「清酒丸の内」と名付け北杜市の酒蔵が製造協力し社内販売をし一瞬で完売するほどの人気となった。

さらに、山の資源である間伐材の活用を官民の協定で実践
山梨県、三菱地所、三菱地所ホーム、えがおつないでの4者協定で、山の資源である間伐材を2×4住宅建材を再生。眠っている資源を活用し地域の活性化に貢献

農村資源を都市のニーズと結べば10兆円産業、100万人に雇用の可能性が期待できる!
内訳
6次産業化を含む農林事業 3兆円
農村での観光・交流事業 2兆円
森林資源の建築・不動産活用 2兆円
自然エネルギーの活用 2兆円
教育・IT・メディア?福祉サービス分野 1兆円

株式会社早和果樹園 和歌山県有田市 会長 秋川新吾氏
みかんの魅力を活かした6次産業化で地域活性化! 売上高6億2千万円(2019年)

1979年7戸のみかん専業農家で「早和共選」を創業。当時2度のみかん大暴落を受け、大打撃を受けた日本のみかん栽培農家は廃業を余儀なくされた。和歌山有田みかんも同じく、みかんの樹を切り倒す農家も多くありました。そんな時にこれではいかん!有田みかんはなくなるとの危機感で、ほんまもんの良いみかんを作ろうと、7戸のみかん農家が「早和共選」を創業した。
2004年には加工事業に着手し、高級みかんジュース「味一しぼり」を新発売。
2005年 株式会社早和果樹園を設立
2006年〜2010年 まるごとシロップ漬「てまりみかん」「味一ジュレ」「みかんのお酒」「ポン酢みかぽん」など次々と加工商品の開発
2012年 3度の増資で資本金8,500万円に。6次化の補助事業活用で加工工場を新設。東京事務所も開設。 2019年の売上高6億2千万円

1億売ってハワイにいこら!
創業時に皆で誓い合った、1億売って絶対ハワイに行く。
創業から25年、ついに売上1億円が実現しハワイ旅行が実現。後継者も育ち始め、2005年に法人化し、事業は飛躍的に伸長してきた。加工商品の種類も増やし、6次産業化の補助金活用で自前の加工工場も新設した。富士通との共同開発でICTシステムでの高品質なみかん栽培に取り組んでいる。今やスマホを持ってみかん畑へ行く時代。と秋川会長は語る。今後は海外への事業展開で50億を目標としている。

1年間に65万人の消費者に試飲から育てられたみかんジュース
「味一しぼり」は、ほんまもんのみかんジュースとネーミング。ホテルやイベント会場や直売所などで65万人のマーケットリサーチを実施し、試行錯誤の末に味を確立させた。有名ホテルの料理長にこんな美味しいみかんジュースは、今まで飲んだことがない。と言わしめた「味一しぼり」。
現在、売上高6億2千万円の内 ジュースなど加工品が5億円、みかん青果1億2千万円で6次産業化で大きく事業が拡大した成功例だ。

現在、72名の従業員でみかんの生産からジュースなどの加工生産、営業販売と一貫で事業を展開。
農業生産法人こと京都株式会社 京都市伏見区 代表取締役 山田敏之氏

ネギで全国制覇をめざす!九条ネギの6次化で就農時400万円を250倍に!
アパレル会社勤務から父の農家を継承。1億を目指して就農したが売上400万円。経営費を引いた手取りは200万円。これでは生活もおぼつかない。4年目、それまでは米やネギや野菜など多品目の作付けだったのを、父の猛反対を押し切り、京都のブランド力がある九条ネギに絞り込み周年栽培を行う。しかし青果販売の限界を感じ、6次産業化補助事業の活用で加工工場を新設し、加工ネギ事業に着手。

カットネギは、工場生産でどんどん量産されてくる。既存の市場へ出荷していたが、それだけでは飽和状態で製品が余る状況が続く。また試練が続く。
山田社長は一人東京へ、営業へ
もともと、アパレル会社で培った営業は苦にならなかった。カットネギのサンプルを持って、京都から新幹線に乗り込む、東京駅で本屋を探し、ラーメン店の本を買って掲載されている店舗へ片っ端から売り込みを開始した。元々アパレルメーカーで鍛えた営業力で売る自信はあった。結果、京都の九条ネギのブランド力もあって面白いように売れた。今日あるのは、この原動力だ。
平成29年度 売上は11億7千万円 従業員153名
6次産業化の成功は、行動力とやはり販売力(営業力)にある。
「ことネギ会」の結成
九条ネギの生産は自農園だけで賄いきれず、京都府内の協力生産者グループの力で供給している

こと京都九条ネギのブランド力をさらに高めるために
クオリティの高い加工品の開発で、こと京都ブランドのブランドエクイティを高めている。ネギドレッシング、ネギ味噌、ネギオイルなど今後も商品開発の模索を続けている。
草竹農園 大阪府阪南市 草竹茂樹氏
自農園栽培の水ナスで水ナス漬物キットの製品開発とマーケティング

草竹農園は泉州特産の水ナス栽培農家でJA青果出荷と自家製水ナスぬか漬けの家内製造・販売を実施してきた。加工商品での販売拡大を目指して水ナス調味液漬けの加工販売をしたいとの相談を受けた。しかし、水ナス漬物市場は地元でも競合他社が多く激戦市場であった。また、関東以北にはあまり出回っていないことから、関東への市場進出をめざしたいとの要望。しかし漬物は要冷商品であり賞味期限が1週間程度と短く販売リスクが高い。また、一番美味しい漬け頃を販売するタイミングも難しい。地元の直売所やお土産店などへの販売供給ならまだしも、関東市場などへの販売拡大は農家がチャランジするにはリスクが大きすぎる。また、水ナス漬けの地元販売も新規参入は価格競争に陥る。
ブルーオーシャン市場へ
水ナス漬物を売るな!漬物を作る楽した体験を売ろう! 「モノ」から「コト」を売る。
草竹農園が誇れる優位性は、①品質の良い水ナス ②自家製の水ナス漬けは料理店から買いに来られるほど美味しい(代々続いたヌカ床作りのノウハウがある)点にあった。
そこでリスクの高い要冷蔵商品から常温で売れる商品を目指す。そして家庭の冷蔵庫で本格的な水ナス漬を手軽に作ることができるキット商品を開発。そして販売チャネルは従来の冷蔵漬物売り場ではなく、ロフトや東急ハンズの非食品売り場での展開を目指す。
東京の販売会社と連携で「ヌカマルシエ」というネーミングで販路開拓を実施。狙い通り東急ハンズはもちろん、東京のデパートやツタヤ書店からも引きあり、一気に全国展開を進めた。現在、台湾の雑貨チェーンや台湾ホテル加賀屋へも進出。今後は欧州や米国などの海外市場も視野に入れている。欧米ではピクルスなど酢づけ商品はあるが、米ヌカの野菜発酵の漬物食文化はまだないことから市場性は高いと今後期待している。

ふみこ農園 和歌山県有田川町 成戸文子社長

女性感覚で紀州果物のスイーツ商品開発、繊細な加工方法で世界に発信
平成5年、ご主人が経営の麺類製造業の親会社から、梅干し製造の「ふみこ農園」を独立。ギフト商品開発やデザインなど女性感覚を活かす事業を展開。百貨店のオリジナル梅干ギフト商品などの製造販売を手がけ、平成8年に株式会社ふみこ農園を設立。紀州の南高梅や紀州産の果物のスィーツ加工を手がける。
ふみこ農園は、ほぼ女性ばかりの従業員35名の会社。
売上高 5億8千万円(平成29年)

一番最初の加工品は梅うどんの開発だった。

きっかけは、一人のお客様から、成戸の麺は美味しくいただいていますが子供が喜ぶカラフルな色の麺はないの?これをヒントに梅うどんを思いつく、開発には相当な時間がかかったがこれが人気商品となる。梅うどんのヒットで自社で梅干しを漬け込むようになった。百貨店からオリジナル梅干しギフトの依頼があり梅干しをコア商品として製造販売を拡大。これを機に紀州の様々な果物を女性の目線でスイーツ加工を手がけ今日に至る。
日本ギフト大賞など様々なコンクールで受賞

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